若くて男で体格もいいから部活…いや、私はもうパパなんです。

スケ丸

(近畿 20代 公立中学校教諭)2017


 

 Twitterアカウント名は「スケ丸」です。20代の大阪府公立中学校教諭(2年目)です。10年ほど野球をやっていました。甲子園球児でした。昨年度採用されて、野球部の主顧問を持つことになり、今年度は結婚・妻の出産があったため、副々顧問?になりました。

 

生徒や保護者からは、「先生、野球専門なのにどうして部活に顔を出してくれないんですか?」といった声が多くあった。4月当初から、管理職には家庭の事情があるからと説明を続けてきたのだが…。そして7月末。校長室に呼ばれました。以下私と校長のやり取りである。

 

 

 

 

校長:「野球部の練習を全然見ていないようだが。保護者も生徒もスケ丸先生が野球経験者であることからすごく期待している。家庭の事情があるのもわかるけど、あなたは色々授業時数など配慮してもらってるんやで。」

 

スケ丸:「それはわかっています。しかし、本来の職務である授業や校務分掌だけで精一杯なんです。教材研究にも私は人一倍力を入れています。校長もご存知ですよね?」

 

校長:「確かに、スケ丸先生は教材研究に熱心で生徒からの授業に対する評価も高い。」

 

スケ丸:「それは、放課後から17時までのほとんどを教材研究の時間にしても足りないくらいです。電子教材やプリントの作成など。教材研究と部活を天秤にかけたとき、私はどう考えても教材研究に重点を置きたいのです。」

 

校長:「それはわかっている…(そして以下のツイートの校長の発言に続く)」

 

 私は、昨年度から訴え続けているのに何も変わらない現状を打破すべく、以下のようなツイートを行った。

 

 

 

校長:「あなたは年下なんだから、部活でがんばっている先輩教員がいるのだから下の人間であるあなたが部活を見なければならない」

 

 

 

 

 さて、この件を私の勤務先の市教委に報告した。前向きに話を聞いてくれて、すぐに動いてくれた。この市教委に報告した電話内容を録音したので、それを文章に起こしてみた。読みやすくするために、一部修正はしている。それでは、約40分近くにわたる市教委の人事担当者と私スケ丸のやり取りをどうぞ。 [市=市教委担当者、ス=私、スケ丸です]

 

 

 

 

市:スケ丸先生の電話をしてきた理由・思いを聞かせてください」

 

ス:(上記のツイートした内容)をどう思いますか。部活は職務ですか?この校長の『部活を見なければならない』という発言は適切ですか?市教委の見解を教えてください。

 

市:部活も学校教育活動の一環であると現行の学習指導要領には載っていますので。

 

ス:そちらはこの校長の発言が正しいということですか?

 

市:お願いという形ではいけるかもしれないが、休憩時間は先生の権利は守られることです。部活に関しても大阪府教育庁(H28.4より大阪府教育委員会から名称変更)とは同じ見解ですので。

 

ス:とすると部活は、職務ではないとも言えないし、職務であるとも言えないということですか?職務だと言えば、勤務時間内に終わらないといけませんよね?労働基準法で定められている平日7時間45分ですよね。法律あっての我々公務員ですからね。学校教育活動の一環であるとするならば、平日の勤務時間内に終了するべきであって、土日祝に至っては活動してはならないってことではないですか?

 

市:土日は振替が取れます。

 

ス:振替取れるんですか?

 

市:あ、土曜授業の振替の感覚でした。そこは調べてみないとわかりません。

 

ス:そこが知りたいんですけどね。(ちゃんと調べておけよ…)

 

市:スケ丸先生は、平日の17時以降に部活をやれということがしんどいということですよね。

 

ス:まぁそうですね。部活を職務とするならば、しっかり休憩時間を確保した上でその後活動となるため実質1時間も活動できませんよね?最近世間でも部活についての問題点が不指摘されていますが、学校現場で働く一教員として、私たちを管轄している市教委さんの見解を教えていただきたいのです。

 

市:外部コーチなどの案も練っていかなければならないと思っています。ただそうなると、外部指導員は誰でも良いのか?という意見も出てきます。また、部活は地域のクラブチーム(野球でいうとボーイズやシニアなど)ではないので、技術向上や勝利至上主義になってきますけどね。野球であれば、野球が上手くなることを第一に考えるということです。そういうことを目的・目標に集まっている集団なので。学校の野球部とはまた違うものですね。今後の課題としては、そういった指導者を探さなければならないですね。

 

ス:私も中学時代は硬式野球でクラブチームに所属していましたのでわかります。そうすると、校長の発言の中にある「スケ丸先生は野球をやってきたんだから、技術があるんだから顧問をやれ」というのは、今市教委の方が言われたクラブチームの考え方になってしまうため矛盾しますよね?学校教育の一環であるとおっしゃるのなら、別に野球を上手くするための集団はなくてもいい。野球の技術がなくても、素人の指導者であっても構わないわけですよね?そうなれば、私が無理に顧問をする必要もないし、加えて顧問を辞退することもできますよね?そこをきちんと説明していただけますか?

 

市:そうですね。他校でも野球経験のない先生が野球部の顧問を持っている場合もありますよね。

 

ス:それも大問題ですけどね(笑)

 

市:スケ丸先生も野球を長くやってきたんですよね?

 

ス:小学校は少年野球、中学校はクラブチーム、高校は私立野球部。

 

市:スケ丸先生も部活に関わってきたんですよね?

 

ス:しかし、小中は外部の指導者で、教員に野球を教えてもらったことはないです。勉強だけ教えてもらいました。高校は、部活でしたが雇われ監督(野球を教えるためだけに採用された教員が私立だと大体いる)に指導してもらいました。

 

市:あ、そうでしたか…。まぁでも部活は強制ではなく、自主的・自発的な活動ですからね。そこで学べるものもあるかと思いますがね。校長先生のお考えとしては、スケ丸先生に、野球を通して生徒たちに関わってほしいという思いがあったのかもしれませんね。しかし、指導となると、今の状況だとスケ丸先生は気持ち的にもしんどいですよね。

 

ス:子どもが生まれるにもかかわらず、今週は市内の中体連の大会がありますからね。

 

市:でも、それは学校長に言えばいいですよ。お子さんが生まれることも学校には伝えているんですよね?

 

ス:はい、伝えています。昨年度妻が妊娠したときから。

 

市:そこで、私たちとしましては、市教委から学校長に言えることはないか、スケ丸先生の力になれないかと思っているんです。

 

ス:子どもが生まれてからも、妻と子だけだと大変です。食事や洗濯などの家事全般もやっています。プライベートな事情ですから関係ありませんが、勤務時間内の仕事だけでも精一杯です。

 

市:学校の方に、スケ丸先生が部活指導はしんどいということを、市教委からも伝えさせてもらってもいいでしょうか?

 

ス:ありがとうございます。そうしてもらえると嬉しいです。ただ、また個別に呼び出されて、「あなただけが大変なのではない」と言われると思うんですよ。「他の先生も家庭があって、小さいお子さんがいる先生もいる」など、こういったことを何回も、何回も言われてきたんです。だったら、その先生はその先生でしんどいなら「これはしんどいです、無理です」と言えばいいだけの話なのではないかと思うんです。あとは「全員顧問制」という制度もおかしな制度だと思うんです。4月当初に部活顧問希望調査があるのですが、第1希望から第3希望まで必ずどこかの運動部の顧問にならなければいけないというルールがあります。そこに私は、「教材研究や校務分掌で精一杯で、本来の職務に支障をきたすため部活の顧問をする余裕がありませんので顧問は希望しません。」とアンケート用紙に書きました。でも後から個別に呼び出されて、「いや全員だから」と言われて折れました。そもそも部活顧問なんでボランティアですよね?強制はされませんよね?ずっと疑問に思っていました。

 

市:とくに今ご家庭が忙しいから、そうお思いになっているということですか?

 

ス:昨年度の初任のときは、無理に頑張って部活指導をしていました。そこからもうしんどかったですね。そもそも私は野球の指導者として採用されたわけではありません。教科のプロとして採用されたと思っているので。授業で頑張っているところ、生徒の学習の成果を見てほしいと思います。学校は勉強するところです。何が第一優先なのかわからなくなっているのが勤務校の実態です。だからと言って、野球部だけ練習時間を減らすと、他部からの比較で保護者や生徒からクレームが来るのは目に見えています。私だけ顧問を外してもらうとかでは、根本的な解決にはならないので、それは学校全体で考えていく必要があるのではないかと思うのです。でないと、また校長に個別で呼び出され、「若いんだから・男なんだから・体格もいいんだから野球部頼むよ」って言われるんですよね。まぁこの発言自体問題ですけどね。これをずっと言い続けられてきて、さすがにもう限界だなと思って市教委さんに電話相談をした次第なんです。

 

市:「授業」が我々の本来の業務ですからね。生徒の中には学力のしんどい子もいるけれど、それも「授業」で救っていくのがベースであると思います。ただ、放課後の部活でその子の持ち味が発揮される場合もあるというのはスケ丸先生も重々ご理解いただいていますよね?

 

ス:そうですね。

 

市:スケ丸先生も、ずっと野球をされていて、高校なんかは野球部に入る必要はなかったけど、「野球が好きだ」という自分の意思で入部したんですよね?

 

ス:おっしゃる通りです。高校生の時ですけどね。

 

市:中学生の中には、スケ丸先生の高校時のような思いでいる生徒もいるかもしれないですよね。そういった生徒の思いも無視はできませんよね?

 

ス:私は別に部活がダメだと言っているわけではありません。私に限らず、顧問を担当できる先生でみたらいいじゃないですか?という立場なので。部活完全否定はではありませんよ。

 

市:家庭のことと、本来の学校業務を両立できてナンボですからね。

 

ス:仮に私の考えが間違っていたとしても、どうなのかな?と市教委の方に聞いてみたかったんです。ですからそうやって電話して動いてみたんですけど。

 

市:電話をいただいた件に関しては、学校長に連絡して指導しなければいけませんのでそこはお約束します。ただ、すぐに制度が大きく変わるのは難しいので、またこうして議論を重ねていきましょう。またいつでも連絡してきてください。最後に何かありますか?

 

ス:はい。もし「〇〇部の顧問を持ってくれ」と言われた場合、顧問拒否はできますか?

 

市:その意思表示があれば、必ず理由があると思うのでそこは管理職に言ってください。

 

ス:私は、昨年度から顧問は持ちませんと言い続けてきたのに顧問に名前が入っていましたが。授業持ちません、校務分掌やりませんと言っているわけではありません。あくまでボランティアである顧問を「ちょっと無理ですね。もてません」というのは職務専念義務違反になるのかな?というところですが。

 

市:労働に関しては、労働者を守る権利もあるのでね。野球人としてのスケ丸先生の魅力があるというのは間違い無いと思います。ですから、先生が直接校長に言うべきですね。

 

ス:何回言っても変わらないからこうして相談しているんです。

 

市:わかりました。またこっちから校長に言います。そして現場の校長と話し合いを重ねて下さい。そしてまた何かあれば教えてください。まずはご家庭のことを第一に考えてください。そうは言っても仕事は続けていってくださいね。長々とすいませんでした。また学校の方に連絡を入れますのでよろしくお願いいたします。

 

 

 

大阪府では比較的、しっかりとした回答をもらえる印象だ。これからもどんどん疑問に思うことは問うていきたい。

 




メディアの方へ

For the press or journalists

 

当サイトの全ての内容は引用可能です。

ご利用の場合は お問合せフォーム または下記メールアドレスまでご一報ください。

教員や教員家族、保護者への取材は、内容や地域をマッチングいたします。

We will offer every content in our site to you for publishing on your media.

If you would like to cite our contents,

please notify us in advance by Contact Us or the following e-mail address.

 

info@kyodo-bukatsu.net

 

教働コラムズ 

KYODO columns